※本記事に登場する会社名・顧客数は、プライバシー保護のため架空または一部変更しています。仕組みの本質は実運用そのままです。
「PLT」「B◯G」「AL◯A」——これ、自分が顧客ごとに振っているプロジェクトコードだ。今は相当数のプロジェクトが管理下に入っている。一人でやってるのに、なぜこんなことをするのか。答えは単純で、「やらないと詰む」からだ。
頭の中が散らかり始めたのは、顧客が増えてきたあたりだった
WP(WordPress)の保守案件、動画制作の依頼、そしてPiloTubeの開発。自分が今動かしている仕事は、大きく分けてこの3種類だ。
問題は、それぞれに複数の顧客がいることだった。
「あのクライアントのサーバー情報、どこだっけ」「動画の修正依頼、どのフォルダに入れたっけ」「AIの連携設定、どのドメインに対して書いたっけ」——こういう問いかけが、1日に何度も頭の中に浮かぶようになった。
ファイルを開くたびに「これ、どの顧客の案件だっけ?」と数秒止まる。その数秒が積み重なると、1週間でゆうに1〜2時間は消える計算になる。一人社長にとって、これは致命的なロスだ。
「名前で管理」の限界
最初は顧客の会社名や担当者名でフォルダを切っていた。
/clients/
├── 山◯商店/
├── 株式会社ブ◯ーライト/
├── アル◯ァ企画/
一見わかりやすい。でも実際に使い始めると、問題が次々と出てきた。
ファイル名が長くなる。 「株式会社ブ◯ーライト_LP修正依頼_2024年11月版_最終確認済み.docx」みたいなファイル名が生まれる。検索するとき、どこまで入力すれば引っかかるかわからない。
表記ゆれが起きる。 「ブ◯ーライト」「blue-light」「BL」——同じ顧客が3通りの書き方で混在し始める。Notionに書いたもの、Slackのチャンネル名、ローカルのフォルダ名、それぞれで表記が違う。
ツールをまたぐと崩壊する。 Notionとローカルフォルダとクラウドストレージ、3つを使っていると、どれが正の情報かわからなくなる。名前ベースの管理は、ツールが増えるほど脆くなる。
「コード」という発想が降ってきた
ある日、ふと思った。「そういえば、大きい会社って案件番号とか振るよな」と。
自分は一人だが、やっていることの複雑さは中小企業並みだ。WP保守が複数社、動画制作案件が数本、PiloTubeの開発が走っている。これを名前で管理しようとするから崩れる。コードで管理すれば、表記ゆれも長さの問題も解決する。
ルールはシンプルにした。
- 顧客名のローマ字から3〜4文字を取る
- 全て大文字
- 一度決めたら変えない
たとえば、アル◯ァ企画なら「AL◯A」。ブ◯ーライトなら「B◯G」(ブ◯ーライトグループの略)。PiloTubeに関連する案件は「PLT」。
これだけだ。
実際に運用してみてわかったこと
コードを振り始めてから、いくつかの変化が起きた。
ファイル名が短くなった。 「AL◯A_LP修正_v3.docx」で済む。何の案件かは頭に入っているし、わからなくなったらコード一覧表を見ればいい。
ツールをまたいでも一貫する。 Notionのページタイトル、ローカルフォルダ名、Slackチャンネル名、すべて「AL◯A」で統一できる。検索するときも「AL◯A」と打てば全部引っかかる。
AIチームへの指示が楽になった。 ツクルンやキカクンに作業を投げるとき、「PLTのSupabase設定について」と書けば伝わる。「PiloTubeというサービスの、Supabaseという……」と毎回説明しなくていい。コードが共通言語になる。
新しい顧客を迎えるときの儀式になった。 契約が決まったら、まずコードを決める。それがプロジェクトのスタートラインになる。「この人の案件が始まった」という気持ちの切り替えにもなっている。
詰まったのは「コードの衝突」だった
運用してしばらくして、問題が出た。
「AL◯A」と「ALF」、どちらが正しいんだっけ? 途中でルールを変えたせいで、古いファイルと新しいファイルで表記が混在してしまった。
あと、顧客名が変わったケースもあった。屋号を変えた顧客がいて、「旧コードのままにするか、新しいコードに移行するか」で少し悩んだ。
結論としては、コードは一度決めたら変えないというルールを徹底することにした。顧客名が変わっても、コードは変えない。コードはあくまで「内部識別子」であって、顧客の正式名称とは切り離して考える。これで安定した。
今の管理体制
現在、コード一覧はNotionの1ページにまとめている。
| コード | 顧客/プロジェクト | 種別 | |--------|------------------|------| | PLT | PiloTube | 自社開発 | | B◯G | ブ◯ーライトグループ | WP保守 | | AL◯A | アル◯ァ企画 | WP保守+動画 | | … | … | … |
このページを「コードマスター」と呼んでいる。新しい顧客が増えたらここに追記する。それだけだ。
ファイルを作るとき、Notionにページを作るとき、Slackにチャンネルを作るとき——常にこのコードを先頭に置く。それだけで、どこで何を検索しても引っかかるようになった。
一人でやるからこそ、「仕組み」が要る
よく「一人なんだから、そこまでしなくていいんじゃないか」と言われる。
でも自分の経験では逆だ。一人だからこそ、仕組みが要る。
チームがあれば「あの件、どこでしたっけ」と誰かに聞ける。一人だと、聞く相手がいない。全部自分の頭とファイルシステムの中にある。だから、検索で一発で引っかかる状態を作っておかないと、すぐに詰まる。
コードを振るのは、5分もあればできる。でも、そのコードが後々どれだけ時間を救ってくれるかは、運用してみないとわからない。自分は今、それを実感している。
読者へのヒント
一人で複数の顧客・プロジェクトを動かしているなら、今すぐコードを振ることをすすめる。
最低限のルール:
- 3〜5文字の大文字英字で決める
- 全ツールで統一する(Notion・フォルダ・Slack・メモ全部)
- 一度決めたら変えない
- コードマスター表を1ページ作る
これだけだ。複雑なツールも、高いソフトも要らない。ルールと意志だけでできる。
PiloTubeの開発でも、この管理術は活きている。「PLT」というコードがついたファイルやメモは、全部PiloTubeに関係するものだ。開発ログ、AIへの指示文、Supabaseの設定メモ——全部「PLT」で始まる。おかげで、PiloTubeの開発に集中したいときは「PLT」で検索するだけで、必要なものが全部集まってくる。
一人社長の最大の武器は「速さ」だと思っている。判断の速さ、実行の速さ。その速さを支えるのは、探す時間をゼロにする仕組みだ。
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